ポーズ その1 こだわり編


本当は鼻の穴編の第2段を準備していましたが、鼻の穴アルバムとして選んだ
ALBERT COLLINSのジャケを眺めていて、テーマを「ポーズ」に変えてみました。
Blues、Soulのジャケにはステキなポーズが溢れています。
今回は特にこだわりを感じるレコードを選んで見ました。
まずはこのアルバムです。






ALBERT COLLINSのAlligatorからの1枚。「Don't Lose Your Cool」です。
鼻の穴的にもナイスですが(しつこいですが・・・)、何といってもこのポーズ。
あの凶暴な音色が聴こえてきそうです。
さて、今回こだわり編としたのは、眺めているうちに、あちこち気になってしまったからです。
順番に見てみましょう。






このストラップの感じ。ギターのボディ前面にストラップが引っかかっています。
この場合、ストラップの長さも決して長くないので、ギターがかなり体に密着する、
つまり窮屈な体勢になるはずです。この感情移入した表情も
「ああ、なんかギターが苦しい〜」と言っているようにも思えてきます。
背景を見ると、これはライブ時の写真に思えませんので、ライブの臨場感を出すために
撮影場所でウォーミングアップしたのかもしれません。
そうだとしたら、顔面やストラップについた汗、このストラップのひっかかり具合から、
撮影現場で相当なウォーミングアップが行なわれたと思われます。
それだけで、スゴイこだわり具合だと思います。



そしてお馴染のハイポジションでのカポ。この場合は7フレットですが、よーく見ると、
1弦の位置がスゴイです。
この位置でのカポ、そしてこのチョーキング具合は尋常じゃありません。
そしてカポもよく見ると、このチョーキングに合わせてか、かなりキツく縛り付けて
あるような感じです。
このあたり、ジャケからあのサウンドの秘密が垣間見れます。






更にこのバックルです。Keep On Truckinというのは、たしか「貫き通すぜ」という意味が
あったと思いますが、まさに、あのパキーン、ガコーンという下手するとワンパターンと
言われそうなサウンド、ギタースタイルに対して、「でも貫き通すもんね。」と、
さりげなく宣言しているようにも見えます。
このように、鼻の穴だけではない(しつこいですが)、こだわりが散りばめられたジャケと言えます。


続いて同じテキサス系からこの人、Johnny Guitar Watsonです。
ジョニーギターといえば、このアルバムを思い出します。





「よっ、今日もやっちゃうよ」と言わんばかりのポーズ。
いかにもBlues界の期待の星という感じ、この笑顔も良い、若さ溢れるナイスなジャケです。
その後70年代に入り、かなり個性的な世界へ突入していきますが、サウンドだけでなく、
ジャケもえらい事になります。初期のイメージからのギャップの大きさも楽しめます。
特に印象的なのはこのジャケです。





「A Real Mother」というタイトルから、ジョニーギター流の乳母車だと思われます。
さて、一見ふざけたこのジャケですが、よーく見るとこだわりに気付きます。





まず、エンブレムがギターの形です。
そして、ナンバーが「J G W」Johnny Guitar Watsonの略になっています。
それから、窓もギターの形になっています。
カッコ良く言えばハンドメイド、出来としては図画工作の感覚ですが、作っている時の
様子を想像すると、大の大人が楽しそうに作業をしている姿が目に浮かびます。




そして、更にこの母親役の人。
パッと見は笑顔に見えますが、じっくり眺めてみると笑ってないようにも見えてきます。
まるで「困った息子をもったものだわ・・・」という嘆き、
または「やれやれ・・・でも、うちの息子を宜しくね」という息子への愛情を表現している、
若しくは「なんなのこの撮影は・・・」という困惑が感じられるような気もします。
そもそも、女性か男性か、という疑問も浮かんできますが、見るものの想像力を掻き立てる、
素晴らしい存在感を出しています。


次です。ポーズといえば、Eddy Clearwaterのこのアルバムも、なかなかのものです。
Roosterからの1枚。「FLIM DOOZIE」です。





先の2枚で妄想した後に、このアルバムを眺めると、それぞれのポーズにも何か特別な意味が
隠されているのではないか?と、勘ぐりたくなります。
・・・が、そうでもなさそうです。


最後にこの人、Guitar Shortyです。Black Topからの1枚「TOPSY TURVY」です。
あまりに素晴らしいポーズと、こだわり具合なので、CDですが例外的に選びました。




一見、すべって転んだようにも見えますが、そうでもないようで、これはこの人の
キメのポーズのようです。
完全にギターから手を離していますし、ギターも地面に向いています。
「おいおい、ギタリストのポーズなのに、ギターを弾いてないではないか。」
というツッコミは、この際なしです。
さて、このCDですが、なかなかのこだわり具合です。





その1。裏ジャケの写真です。逆立ちだけではない、キメのポーズが披露されています。
この人の引き出しの多さが伺えます。






その2。レーベルの印刷。
レーベルまで逆立ちのポーズを印刷するあたり、逆立ちギタリスト(弾いていませんが・・・)
として売り出していこうというレーベル(Black Top)の戦略が伺えます。
更にこの写真、CDの中心の穴に沿って体がくの字になっています。
つまり、ターンテーブルの上でCDが回転する時、この写真も非常に良いバランスでクルクル回る
事が想像できます。


と、こんなにも長々と役に立たない事を書いている自分が少し心配になってきましたので、
今回はこれくらいにしておきます。
とにかく、「いやあ、ジャケの世界は本当に深いですねえ」という事で。つづく。
・・・きっと。