雁（1966）

雁
（1966年　大映　監督：池広一夫　出演：若尾文子、山本學、姿美千子、小沢栄太郎　他）
森鴎外の原作で53年にも高峰秀子の主演で映画化されている作品。もちろん若尾文子が目当てで見ました。それはもう美しくてたまりません。男に騙されて傷ものになった身で、悪意のある婆さんに乗せられた縁談を受け入れ、結果的に飴細工の父との貧しい暮らしを抜け出すために高利貸しの妾になる、その立場で純粋な恋をして・・・という役柄。貧しい父親の生活を助けたい、まだまだ女性が不自由な時代背景もあり、素直に恋ができない、そんな苦悩の中で生きる姿が不憫で、でも強くて惹かれる。まあ、惹かれるのは若尾文子だからだけど(笑)当然、現代のように露出や絡みといった直接的な表現は無いけれど、それでも感じる色気はすごい。話としては静かな印象だけど、主人公のお玉や高利貸しの旦那の心の動きに引き込まれる。お手伝い役の姿美千子が天真爛漫で可愛い。あと、映像も良い。地味だけど良い映画です。