「からっ風野郎」



からっ風野郎(1960年 大映 監督:増村保造 主演:三島由紀夫若尾文子船越英二 他)
増村保造監督と若尾文子の作品をチェックしていたら見つけました。何といっても三島由紀夫が主役です。当時、すでに作家として有名だった三島由紀夫が初めて映画に挑戦したという事で、どんな演技をしたのか、いや、当時の三島由紀夫の姿に興味を抱いて観てみました。ストーリーとしてはヤクザものですが、三島が演じるのは、つっぱっているけど気が優しい2代目。ヤクザらしく振舞うものの、大事な所で優しさを見せるなかなか良い役どころ。そんな三島を愛してしまうヒロインには若尾文子。そして、二代目をささえる組員に船越英二。正直、三島由紀夫の演技はひどい。しかし、若尾文子船越英二が素晴らしいのです。この二人によって、この映画が成り立っていると感じました。若尾文子の激しい愛情、船越英二のクールでいてしっかりと2代目を支える愛情、主役に向けた二人の愛がアツイ。話の結末は切ないですが、ヤクザ映画やマフィア映画でのこういう終わり方は好き。エスカレーターを使った場面は、なかなか決まっていました。いやあ、三島由紀夫に興味があって観てみましたが、結局、若尾文子船越英二、そして増村保造監督の素晴らしさにグッときました。