「越前竹人形」



越前竹人形 (1963年 大映 監督:吉村公三郎 主演:若尾文子、山下恂一郎、中村玉緒 他)
iPhoneに映画をダウンロードでして電車で映画を観る機会が増えてきましたが、金沢への出張でどうしてもやりたかったこと。それは特急しらさぎに乗ってこの映画を観る事。何かとデジタルよりもアナログが良いと言われており、僕も賛同するのですが、移動中にその舞台となった土地で映画を観るなんてデジタルの恩恵だと思うのです。という事で、武生が舞台の映画です。あらすじとしては、竹細工の産地の若者、山下恂一郎演じる喜助は竹細工の名人の息子。父親が亡くなったあと、父親を参りに芦原の遊女である玉枝が家にやってきた。その後、喜助は玉枝が忘れられず、遊郭の玉枝を訪ねる。そこで父親が玉枝のために作った竹人形に触発され、喜助も竹人形づくりに没頭する。遊女である玉枝に惚れたのか境遇に同情したのか、喜助はお金を貯めて玉枝を遊郭から嫁に迎えた。しかし喜助は玉枝に触れることなく竹人形づくりに没頭する。ある日、京都から竹人形を買いに番頭の忠平がやってきた。忠平は玉枝が京都の島原にいた頃の客であり、玉枝を無理やり犯してしまう。竹人形が評判を呼び、喜助は弟子をもつ身になったが、ある日、弟子と玉枝の和気あいあいとした姿に激高して、飲んだくれて玉枝の妹分であるお光を訪ねる。そこで父親と玉枝は肉体関係がないことを知る。それによって喜助は心を入れ替え、玉枝を心から愛すことに。しかし、玉枝には忠平の子が宿っていた・・・という話。面白かったので、詳しく書いてしまったのですが、ラストは一応隠しておきます。父親と肉体関係がなかった事で、一気に玉枝への気持ちを解き放つ喜助ですが、やはり、父親と関係のあった女性を受け入れるのはキツかったと思われる。とても人間的ではあるけれど、遊郭にいたことは大丈夫なのか?という気がしないでもない。喜助の純粋なキャラに対して、遊女の玉枝を演じる若尾文子の色気がたまりません。この映画を見て改めて気づいたのですが、僕は若尾文子の声も好き。たまらない色気があります。そして遊郭の妹分、お光を演じる中村玉緒が愛らしい。実は、タイトルから何となく期待していなかったのですが、とても良い映画でした。この映画も若尾文子の魅力が満載です。マジで美しい。