女は二度生まれる



女は二度生まれる(1961年 大映 監督:川島雄三 出演 若尾文子藤巻潤フランキー堺 他)
「しとやかな獣」、「雁の寺」でグッときたので「贋の寺」の前年の作品であるこれを観ました。原作は小えん日記で芸者の悲哀を描いたもの。若尾文子演じる小えんが置屋で出会う男を通して束の間の幸せと絶望、将来への不安を感じながら揺れ動く様が描かれています。若尾文子のキャラクターの影響もあるのか、小えんは可愛くもあり、色っぽくもあり、時折見せる芯の強さがとても魅力的。他の作品同様、若尾文子の色っぽさを上手く活かした作品だと思います。要するに、若尾文子ファンにはたまならない映画です。内容としては、それほどインパクは無いのですが、印象に残っているのは、二号になった相手が亡くなり、本妻が訪ねてきて喧嘩になるシーン。ああいう気の強い姿も堪りません。そして「雁の寺」では寡黙で意思の強い青年を演じている高見國一がここでは純朴な青年を演じており、そのギャップが面白い。まあ、本来はこっちの作品の方が先なので、当時は逆のインパクトだったのでしょう。この少年と山を旅して、途中で少年を分かれて故郷に向かう、新しい人生への決意みたいなものを感じさせて終わります。これはこれで良いのでしょうが、もう少し強いオチを求めてしまう僕には風情がないのかな、なんて考えてしまいました。