青空娘



青空娘(1957年 大映 監督:増村保造 出演 若尾文子、菅原謙三、川崎敬三ミヤコ蝶々 他)
増村保造監督と若尾文子のコンビは数々の名作を生み出していますが、二人が出会った最初の映画がこれです。あらすじとしては、伊豆の高校を卒業した若尾文子演じる有子が東京の父母のもとに帰るところから始まります。実は本当の母親は父親の愛人であり、東京の家では家族に女中扱いされ辛い思いをします。それでも明るく前向きな有子は父親と再開できた喜びを噛み締め、頑張ります。本当の母親との再開や先生への憧れ、東京での恋、などなどが織り交ぜられる青春ドラマ。ストーリー的にも面白く増村監督らしいスピード感のある展開で最後まで一気に観る事ができます。そして何より、この作品は若尾文子ファンは絶対に見るべきです。若尾文子がとにかくキュート。この躍動感がなければ、この作品は成り立たなかったと思います。全編で若尾文子の軽快で溌剌とした魅力が作品を引き立てます。特に好きなのは、卓球のシーン。あのキレっキレの動きには参りました。そして増村監督の見せ方が素晴らしい。有子が東京に出てきたシーンで、関係のない男女や変な男に話しかけられるシーン、画面からはみ出すくらいに映し出す登場人物、かろうじてわかる東京の風景よりも、登場人物に都会の雑踏やスピード感を感じさせている。と思う。そういう視点で観始めると、他の映画には無いような演出も沢山あって、増村監督の非凡さを改めて感じたりします。それからミヤコ蝶々の存在感もいい。テーマといい何となく期待していなかったのですが、とても良い映画でした。