「しびれくらげ」



しびれくらげ (1970年 大映 監督:増村保造 主演:渥美マリ川津祐介田村亮玉川良一 他)
「でんきくらげ」で渥美マリを知り、同じく増村保造監督という事で、観てみました。女の武器を使って成り上がっていくという基本路線は同じです。渥美マリ演じるファッションモデルが思いを寄せるスポンサーの仕事のために外人と寝たり、ダメな父親に巻き込まれてヤクザに金をたかられたりする中で、同じような環境で育ったヤクザに惹かれ、最後は美人局のような形で大金を手に入れ・・・という話。「でんきくらげ」と同様に渥美マリの棒読み感は健在で、川津祐介の演技もそれに呼応するようにクサい。しかし、それは演出のような気もして不思議。渥美マリの魅力はこっちの方が前面に出ている感じ。役柄も男と寝まくる感じではなく、より女性の魅力が増した感じがするのですが、これは渥美マリ本人の路線変更というか成長のようなものなのか、僕のただの思い過ごしなのか判りません。とにかく、セクシーな場面以外での愛らしさや色気をたくさん感じました。それから、何といってもこの映画で際立っているのは、玉川良一演じるダメな親父です。「でんきくらげ」では母親のヒモで、娘を犯してしまうゲスい男を演じていました。またコイツか、と思ったのですが、こっちの役柄は本当にダメな親父で、ストーリーをかき回す中心的な役割になっています。この存在感はなかなかです。調べてみると渥美マリは1968年から1973年の5年間だけの活動で、当時の若者、特に思春期の男の子のオナペット(笑)だったとか。僕が生まれた頃なので、まったく知りませんが、確かに、現代のセクシー女優やグラビアアイドルと比べても引けを取らないレベルだと思います。要するに古さを感じさせないのです。話の展開やセリフの感じなどが気にならないほど、後半は渥美マリの魅力に引き込まれてしまいました。ラストシーンの一人で歩く姿がとても絵になっていて好きです。しかし、すごいタイトルだなあ。