「でんきくらげ」

でんきくらげ （1970年 大映 監督：増村保造 主演：渥美マリ、川津祐介、西村晃、根岸明美　他）
倒産前の大映では「軟体動物シリーズ」という何ともすごいシリーズがあって、その中の一作。タイトルにつられて観ました。若尾文子以外の増村保造監督作品を観たいと思ったのです。渥美マリ演じる由美はバーで働く母親、トミと暮らしています。トミは情夫である吉村を殺してしまい、刑務所へ。真面目な由美だったが生活に困ってトミとおなじバーで働き、そこで出会った男との恋、ヤクザとのトラブルを経て、野沢と知り合い、野沢がマネージャーを務める高級なバーへ転籍。そこで社長の妾になり、社長が亡くなり、巨額の相続で揉め、相続するために野沢の子供を作り、野沢と幸せに暮らすと思いきや子供を堕してしまい・・・簡単に言うと、ウブな女性が次第に女の魅力に目覚め、それを武器に成り上がっていくような話。この映画を盛り上げているのは渥美マリの魅力はもちろんですが、母親のトミのやさぐれた感じと情夫のダメダメ感、川津祐介のカッコよさ。まわりのキャラがとても良いです。渥美マリは知りませんでしたが、とても可愛くセクシーな人。セリフの棒読み感は、これは役柄なのか演技が下手なのかよくわかりませんが、観ているうちに慣れてしまい、それも魅力に思えてきました。どんどん美しくなっていくのに、そのセリフまわしによってどこか垢抜けないところに親近感が湧きます。厳しい見方をすると、こんな演技はダメだという人もいるかもしれません。ただ、この映画は多分、渥美マリの魅力、セクシーさを堪能する映画だと思うので、そう考えるとそれは十分伝わってきます。時代もあると思いますが、裸のシーンで常に胸を隠しています。もどかしいけれど、見えそうで見えないおかげで、よりセクシーさが増しているような気がします。ストーリー的にも起伏が多く、テンポも良くて面白いのですが、描き方によってはエロいだけのペラッペラな映画になっていた気もします。そこは増村保造監督だからこうなったのかな。と感じます。そう考えると、これが若尾文子だったらどうなるのか・・・もうめちゃめちゃ面白い映画になっていた気がします。まあ、若尾文子が好きだからそう感じるのかもしれませんが(笑)ただ、渥美マリのキュートな魅力もよくわかりましたので、別の作品も観てみたいです。