香華



香華(1964年 松竹 監督 木下恵介 出演 岡田茉莉子乙羽信子田中絹代加藤剛 他)
3時間を超える大作であり、DVDでは2枚組。これは覚悟して見なきゃ、と思っていましたが、すぐに引き込まれて長さを感じませんでした。それよりも、奔放な母親に翻弄される娘の切っても切れない親子の絆や葛藤、その切ない一生が丁寧に描かれており、ずっと観ていたい気持ちになりました。岡田茉莉子の美しさや演技、その魅力が存分に発揮されています。何といってもこの映画は岡田茉莉子乙羽信子田中絹代の競演。そしてチョイ役で若かりし頃の菅原文太田村正和などが出ているところも得した気分になります。好きな場面は逢いたくて堪らない江崎大佐とようやく面会できた場面。家族に遮られつつ、ようやく目線が合った時の江崎大佐の態度とそれを受け止める切ない姿。たまりません。あと、本当にダメな親に対して、それでも面倒を見る親子の絆や愛情がグッとくる。母親に対するキツイ口調もその影に愛がある。僕自身、親に振り回された時期があったけど、その頃を思い出して共感できる部分が多かったです。親子とは何かを再確認させられた映画です。