Bobby Bland 「SAD STREET」



6月23日にBobby Blandが亡くなりました。とても好きなシンガーだったのでショックが大きかったです。
Bobby BlandといえばDuke、ABC、Malacoなどで沢山の録音があり、どれもそれぞれの良さがありますが、特にDuke時代のアルバムやシングルはよく集めました。今でもDukeの7インチは持っていない盤を見つけたら買います。
ああ、亡くなってしまったな・・・何聴こうかな。と考えたときに、真っ先に浮かんだのはDukeじゃなくて、95年Malacoから出した「SAD STREET」でした。これはリアルタイムで聴いたアルバムで、それまでB.B.Kingとの共演盤や初期の定番「To Step From〜」などをよく聴いていて、その系統の音が大好きでしたので、とても期待して買った憶えがあります。 ところがいきなりのスローブルースで、どっしり大人なサウンド、ブランドの歌もとても落ち着いていて、あのゲップのようなシャウトさえ貫禄たっぷりでした。うわ〜っ、これは大人だなあ〜、最後まで聴けるかな。というのが第一印象。クレジットを見るとロバート・ジョンソンと書いてあり、ええっ、あれがこうなるのか、と驚き、ロッド・スチュアートの名前を見つけて、よく聴いていた10代の頃を思い出し、おお〜っ、あれがこうなるのか、とまた驚き、これは良い曲だなあ〜、と思って見たらジョージ・ジャクソンと書いてあり、おおっ、これが・・・と、結局最後まで聴いた憶えがあります。その後、聴いているうちにハマってしまい、いつも車で聴いていました。当時、僕は25歳。小さいヨーロッパ車が大好きした。赤い小さなヨーロッパ車に乗ってこれを大きい音で聴いている若者というのも、なかなか珍しいと思います(笑)振り返ると僕の20代はいろんな事があり、破談や親との別れ、結婚・離婚、親の介護の始まりなどなど、大変な時期でした。そんな中でもアホな事もいろいろしましたが(笑)。酸いも甘いも包み込む、大人のブルースが心にフィットしたのも、当時の境遇が影響していたのかもしれません。音楽を聴くと、聴いていた当時の事を思い出したりしますが、まさしくこのアルバムは僕の20代を思い出させる1枚です。音楽体験としては、このアルバムをきっかけにMalacoのアルバムを聴いたり、ブランドのアルバムを買い集めては彼の歌の魅力にハマっていきました。今回、久しぶりにこのアルバムを聴いてみましたが、こんなにしびれる歌声だったのか!と、改めて感動。耳元で本人が囁いているような錯覚をおぼえ、(まあ、スピーカーの近くで聴いていましたが(笑))今、そこにいるように感じるのに、もうこの世にいないと思うと、とても淋しい気持ちになりました。たぶん、この先もたまに聴いては、同じように感動すると思います。
音楽は思い入れによって聴こえ方や感じ方も違うと思うので、どんな音楽も評価は別れたりしますが・・・僕にとってはとても素晴らしい1枚。是非、オススメします。