「陸軍中野学校」



陸軍中野学校 (1966年 大映 監督:増村保造 主演:市川雷蔵小川真由美加東大介、ピーター・ウィリアムズ 他)
増村保造監督作品で、スパイものという事で、なんだか面白そうだったので観ました。陸軍中野学校は戦前〜戦中にスパイ養成機関として実在したというのが、何とも興味深い。市川雷蔵演じる三好次郎少尉は優秀であり、他の優秀な少尉18人とスパイ養成学校である中野学校で教育を受ける事に。中野学校は草薙中佐のイギリスなどと対等に渡り合えるスパイを養成したいという夢であり、初めての試み。疑心暗鬼だった生徒達は、次第に草薙中佐の情熱に感化されていく。スパイ教育は多岐に渡り、それと同時にこれまでの俗姓を捨て、偽名を名乗ることに。三好次郎は椎名次郎となった。椎名の恋人だった雪子は必死に行方不明になった椎名を探すが、消息が掴めずにいたが、手がかりが欲しくて参謀本部のタイピングの仕事に就く。1年間の中野学校の卒業試験として英国領事館の暗号コードブックの入手を指示された椎名は、コードブックを手に入れたが、すぐにコードが変えられ、参謀本部にスパイがいると考える。そこで雪子が働いているのを知り、雪子がスパイと関わっている事がわかり・・・というあらすじ。主演の市川雷蔵の語りで物語は進行するが、そのセリフが堅くてスパイの任務の厳格さとマッチしています。スパイ教育の場面は面白いのですが、実話をどれだけ再現しているのか興味がわくところです。そして、椎名の恋人役の小河真由美が、椎名が恋しくて心配する姿と、スパイに手を貸す時の悪い姿の変化がとても良いです。恋人である雪子を殺してしまう椎名の冷酷さが、普通の恋愛ものではなく、スパイを描いた映画である事を思い出させてくれます。古い映画ですが、スリルとサスペンスが味わえる、見ごたえのある映画です。シリーズ化されており、増村保造監督はこの1作目だけで、監督は変わりますが、面白そうなので観てみたいと思います。