「遊び」



遊び (1971年 大映 監督:増村保造 主演:関根恵子大門正明、内田朝雄、根岸明美 他)
増村保造監督のことを調べていて、この映画が大映で撮った最後の作品という事で観てみました。野坂昭如の「心中弁天島」をベースにした純愛もの。16歳の少女は貧しい家庭で育ち、工場で働いている。工場の寮に昔一緒に働いているが今はキャバレーのホステスをして稼いでいる友達が遊びに来る。お金が必要になり、その友達に連絡をとろうと公衆電話の電話帳で調べている時に、チンピラの少年に出会う。少年も家庭環境が厳しく、ヤクザの下っ端で使いっぱしりをしていた。少女を兄貴に紹介して格をあげようと目論んでいたが次第に純粋な少女に惹かれていき、兄貴を裏切り・・・という話。関根恵子が演じる少女の純粋さが堪りません。撮影当時16歳の関根恵子がヌードを見せますが、初々しくて、なんというか、見てはいけないものを見てしまった感覚でした。チンピラ役の大門正明の大げさでクサイ芝居も、役作りなのかな、それはそれで青春ドラマな感覚になりました。それぞれの境遇が回想シーンとして出てくる演出は、今ではありふれていますが、効果的な感じがしてなかなか良かったです。青春もの、純愛ものでは、大抵、え〜っ、何でそうなるの?と思える場面がありますが、多分、それは二人だけの世界は周囲には理解されない事が多いもので、それを映像にすると、同じように観客も取り残されてしまうということかな、と思いました。まあ、そんなエンディングです。しかし、設定といい、展開といい、とてもベタではありますが、やはり純愛ストーリーは良いものです。歌はラブソング、映画はラブストーリー、老若男女が共通して惹かれる、普遍的なテーマだと、改めて思いました。関根恵子の初々しさにちょっとやられましたので、この作品の前、おさな妻、高校生ブルースなども観てみよう。