宮本武蔵



宮本武蔵(1961年 東映 監督 内田吐夢 出演 中村錦之助入江若葉木村功三國連太郎 他)
宮本武蔵 般若坂の決斗(1962年 東映 監督 内田吐夢 出演 中村錦之助入江若葉木村功三國連太郎江原真二郎河原崎長一郎 他)
宮本武蔵 二刀流開眼(1963年 東映 監督 内田吐夢 出演 中村錦之助入江若葉木村功平幹二朗江原真二郎、河原崎 長一郎)
宮本武蔵 一乗寺の決斗(1964年 東映 監督 内田吐夢 出演 中村錦之助入江若葉木村功平幹二朗江原真二郎、河原 崎長一郎)
宮本武蔵 巌流島の決斗(1965年 東映 監督 内田吐夢 出演 中村錦之助入江若葉木村功河原崎長一郎里見浩太郎千田是也)


内田吐夢監督の宮本武蔵5部作。1961年から65年まで1年に1作のペースで作られた作品。当時の日本映画はハイペースで作られていた事もあり、1年に1作はスローに感じる。それだけ丁寧に作られたということか。歴史の話は得意じゃないし、時代劇もよくわからないけど、飢餓海峡内田吐夢監督が作った5部作という事で、とても気になっていました。1作目の序盤は最後まで見られるかな、と不安になりましたが、気付いたら夢中になっていました。ストーリー自体は知っている人もいるので、僕が気になったところを書くと、まずキャスティング。中村錦之助はハマり役ですが、それ以外にも沢庵和尚を演じる三國連太郎佐々木小次郎を演じる高倉健、又八を演じる木村功など、魅力的な配役。三國連太郎の鋭い目つきはただの和尚じゃない雰囲気を醸し出しているし、高倉健佐々木小次郎は予想以上に美しく、嫌味な演技もはまっています。剣を極める浪人の話ですが、強さを求めるだけでは無く、内面の葛藤や悲しみ、虚しさ、愛情など人間らしさが多く描かれていて飽きさせません。戦いのシーンも迫力があり、般若坂の決斗で首が飛ぶシーンはこの時代に見てもギョッとするリアルさ、戦の恐怖を感じさせます。5部作という事ですべて見る前提で作られているとは思いますが、ちゃんと1作ごとのハイライトもあり、後半に向けて盛り上がっていきます。映像も素晴らしい。セットで撮影されているシーンが多いと思いますが、あれだけのセットを準備するのも大変そうだな、と考えてしまうものも多い。敢えて白黒で描いているシーンがあったり、その後に赤を上手くつかって幻想的な映像になっていたり、拘りが感じられます。あと出てくる子供が可愛くて力強い。今の子供と比べたら想像できないくらい逞しいし、殺伐になりやすい戦いの物語も子供の存在が癒してくれる気がします。見始めたら一気に見る事ができる面白い作品でした。時代劇や歴史ものはあまり見ませんでしたが、これを機に見たくなりました。